|
⇒祖母ちゃんの一杯の甘酒(河合隼雄)
【解説】
人間だけが“死”について考えることができる。
生きている時間と死んでいる時間、どっちが長いだろうか?
この“死”ということは、
日本の家族関係の根本ともいえる。
家族関係について日本は他のアジアの国と違う概念を持っている。
たとえば、
日本は“河合家”が一番大事。
中国や韓国などは、家族関係といっても“血縁関係”なのだ。
歴史からもわかるように、
とにかく“徳川家”が残ればいいのだ。
終戦後、“個人主義”という概念が
アメリカやヨーロッパから流れてきた。
個人、人権重視という思想が「意図的」に導入された。
そのもの“個人主義”というのはなんだろうか?
“個人主義”は、キリスト教倫理観によって
支えられていることを知らない日本人が多い。
倫理=個人主義がないとその社会は
存続できない。
だから、ヨーロッパの方が躾が厳しい。
援助交際の子と大手会社の社長の悩み・不安は
すべてのこの家族関係が背景になっている。
では、日本は駄目なのか?そうではない。
現実に日本は世界のどの国よりも
家族関係による安定した社会を築いてきている。
“お察しとお気遣い”の概念をアメリカ人に
説明したら、みんな驚いた。
“素晴らしいシステムですね”と。
元々は
日本の家屋はお察しとお気遣いの概念を
自然に学べる構造そのものだった。
寒い日は、いろりに家族みんなが集まる。そして
お祖母さんがくれる甘酒一杯が、
自然にお祖母さんへの尊敬に繋がる。
“祖母ちゃん、死んだらどうなるの?”と孫が聞くと、
“祖母ちゃんは、死んだらこの家のご先祖様になるから大丈夫よ”
と「安心」して生きていく。
生きている時間と死んでいる時間。
死んでいる時間がよっぽど長い。だから家族関係の中で
日本は長い間、この「安心」を得てきたし、
この考えが社会の調和を導いていた。
近代、日本に入った個人主義は、
その背景にある倫理観の無知覚と生きている時間への集中で
日本の家族関係を壊してきた。
アメリカやヨーロッパを真似するのであれば
しっかり真似してほしい。
日本の心、つまり、
お察しとお気遣い、
祖母ちゃんの一杯の甘酒に
本来の日本の良さがあるのだ。
世界が学ぶべき点であろう・・・。
社会に起きているあらゆる問題は
この家族関係の乱れが原因である。
◆河合 隼雄氏(文化庁長官・ユング派臨床心理学者)
【日本が変わり家族が変わった〜父親・母親は今何をなすべきか】の講演CD・テープより引用・編集。
講演の要点
河合隼雄氏の経歴は多彩。
日本でのユング派臨床心理学の第一人者としても知られる。
文化・教育面や人間形成などに大きな影響を与えています。
日本の家族について「革命といえるほど変わった。
日本人はその変化を自覚していない。
今まで通りではうまくいかない」と河合氏は指摘する。
昔は一番大事なものは「家」とされたが、
今では「家より個人を大事にするようになった」という。
その半面、個人主義で倫理観がなくなったことを問題にする。
昔の家族では「教育していないようでも自然に教育できるシステムがあった」とし、
囲炉裏を囲んだ家族団らんなどが教育の場になった例を詳しく説明。
今の子供教育についても「物が豊かになったから子育てがやりにくくなった。
物を与えてかえって子供を悪くしている」として、
欧米の例を挙げながら、物を与え過ぎる日本の父親に自覚を促しています。
また母親の役割として「赤ちゃんとどっぷりつかり過ぎると自立できなくなる。
母親から離れて自立することも赤ちゃんに教えることが大事」
と自立精神を幼児時代から教える必要を説く。
ただその場合「この2つルールのバランスが難しい」という。
その点を父親がよく考えて対処する必要も説く。
講演には家族のありよう、子育てなど含蓄ある内容が込められています。
【プロフィール】
河合 隼雄(かわい・はやお) |
1928年生まれ。
52年京都大学理学部卒、高校教師を経て京都大学大学院で臨床心理学を勉強し、
米国に留学。
京都大学教育学博士を取得し62−65年にはスイスのユング研究所で
日本人として初めてユング派分析家の資格を取得し、
日本におけるユング分析心理学の理解と実践で貢献。
京都大学教授、80年同大学教育学部長など歴任。
95年国際日本文化研究センター所長、02年から文化庁長官、2000年には文化功労者顕彰。
近著は
「大人の友情」(朝日新聞社)
「深層意識への道」(岩波書店)
「父親の力母親の力『イエ』を出て『家』に帰る」(講談社)
「無為の力 マイナスがプラスに変わる考え方」(谷川浩司共著=PHP研究所)
など多数。 |
|
【自己啓発CD・ビジネス・講演CDテープセミナーパワーレクチャー】
●講演テーマ 日本の文化とこころの深層
【2002年09月第1週発売】
日本が変わり家族が変わった〜父親・母親は今何をなすべきか
【2005年05月第4週発売】
¥3,300円(税込・送料無料)

|
|